サッカー五輪男子はクジ運に恵まれた。組み合わせから見えるメダルへの道筋 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO

 メキシコ、フランスにしても世界的強豪国ではあるが、東京五輪世代の日本の選手たちにとっては、過去にさまざまな大会や親善試合で対戦経験のある国でもある。「同等のメンタリティで戦って、勝負を仕掛けられる。気後れするとか、経験値が足りないとかいうことはない」(森保監督)のはプラス材料だ。

 また、南米の2強(アルゼンチン、ブラジル)とヨーロッパの2強(スペイン、ドイツ)がグループC、Dに集まったことも大きい。準々決勝までの間に"4強"がつぶし合ってくれるおかげで、日本はそれらの相手と準決勝まで対戦する可能性がないのも、かなりの利点だ。

 あえて今回の抽選結果を嘆くなら、準々決勝で韓国と対戦する可能性がある点だろうか。彼の国の日本に対する勝負強さは、2014年ロンドン五輪の3位決定戦をはじめ、過去の年代別大会での対戦が証明しており、日本にとって歓迎すべき対戦相手でないのは確かである。

 では、グループリーグから具体的にシミュレーションしてみたい。

 初戦は7月22日、東京スタジアムでの南アフリカ戦。南アフリカは「個人の能力が高いという印象プラス、組織的に戦えるチーム」(森保監督)ではあるが、裏を返せば、スピードとパワーでゴリ押ししてくるタイプではない。日本にとっては比較的戦いやすい相手だろう。実際、東京五輪世代では、17年U-20W杯のグループリーグ初戦で対戦し、日本が2-1で勝っている。

 初戦の重要性については言うまでもないが、グループ内の力関係から考えても、日本にとってここでの勝利は必須だ。確実に勝ち点3を取ることさえできれば、同日に行なわれるメキシコ対フランスの試合結果を見つつ、残り2試合の戦略も立てられる。そうなれば、かなり有利にグループリーグ全体の戦いを進められるはずだ。

 つづく第2戦は7月25日、埼玉スタジアムでのメキシコ戦。ロンドン五輪準決勝で喫した完敗が印象深い、難敵との対戦である。

 しかしながら、この世代に限っては、決して相性の悪い相手ではない。19年トゥーロン国際トーナメントでは準決勝で対戦し、2-2(PK5-4)。同年のU-20W杯でもグループリーグ第2戦で対戦し、3-0。どちらも日本が勝利している。

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