日本人No.1ドリブラーは誰か。元日本代表のレジェンドがトップ10を決定 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by AFLO

キレキレのドリブルと決定力で、観客を惹きつけた前園真聖キレキレのドリブルと決定力で、観客を惹きつけた前園真聖6位 前園真聖(元横浜フリューゲルスほか)

 ゾノは、正直に言うと、ピークがすごく短かった選手でしたね。でもその短いなかでものすごくインパクトがありました。タッチが細かくて、動きにキレがあるコテコテのドリブラーのタイプでした。

 ただ、彼がほかのコテコテドリブラーと違ったのは、点も取れるドリブラーだった点です。じつはスルーパスも得意なんだけど、ドリブルのインパクトが強すぎて、ドリブルしかできないくらいの印象がありますね(笑)。

 1996年アタランタ五輪のアジア予選準決勝サウジアラビア戦で、28年ぶりの本大会出場を勝ち取るゴールを決めていて、現地で見ていたけどやっぱりすごかった。本戦でもキャプテンを務め、『マイアミの奇跡』の立役者の一人になりました。

 その活躍もあって、サッカーファン以外からも認知されるくらい人気があって、当時のJリーグで見るべき選手の一人としてランドマーク的な存在でもありましたね。プレーも観客を惹きつけ、華のあるプレーヤーだったと思います。

◆28年ぶりの快挙に沸く日本。前園真聖はアトランタ五輪で何を学んだか>>

5位 齋藤学(名古屋グランパス)

 学は小学4年生くらいから知っていて、当時からあのままのプレースタイルなんですよね。キレのあるドリブルをしては、シュートを決める子どもでした。足元で細かなテクニックを駆使するというより、一瞬のキレで抜いていくタイプのドリブラーです。

「エヒメッシ」(愛媛FC時代)なんて言われていた頃、いちばん乗っている時は左サイドからカットインで「打つぞ」と見せて、フェイントで3人、4人とかわしてシュートを決めるくらい、切れ味の鋭さがありました。

 彼は目の前の1人目は自分の形で抜ける自信があるので、そのあとの2人目、3人目のDFがどう来るかを見ながら、仕掛けられるくらいの境地にあったと思います。ただ、仕上げの部分では雑なところがある。

 もっと日本代表で活躍する姿を見たかったですが、良い時にケガをしてしまった部分がありました。ただ、この先もっと活躍できると思います。まだまだ見ていたいドリブラーですね。

4位 田中達也(アルビレックス新潟)

 今はアルビレックス新潟でプレーしていますが、浦和レッズ時代の彼はコテコテのドリブラーでした。かつてアルゼンチン代表で活躍していたアリエル・オルテガのような、アジリティのあるキレキレのドリブルがすごかったですね。

 僕は彼のようなドリブラーを、昔から『クランク』と言っています。自動車教習所で練習した、あの直角に曲がっている道路です。田中はカクカクしたクランクを、曲がっていくような感じでドリブルをしていました。体のキレとストップ&ターンで、普通の人にはマネできないような小回りの利くドリブルで、DFを手玉に取ってきました。

 正直、ああいうタイプは息の長い選手ではないと思っていたけど、40歳手前になった今でもプレーしているのはすばらしいと思います。当時のようなキレやスピードはないけれど、スタイルを変化させながらプレーしつづけられる柔軟性もあったんだなと感じさせられました。

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