スペインの智将がU-24アルゼンチン戦を分析。「勝機はあった」第1戦の分岐点とは?

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 代表撮影:日本雑誌協会

「この試合の一番正当な結果は、引き分けだろう」

 スペインの慧眼、ミケル・エチャリは3月26日に行なわれたU-24日本代表対U-24アルゼンチン代表の第1戦について、そう分析している。

「U-24日本代表の戦いは、戦術的にとても好ましいものだった。攻撃は豊かな技量でコンビネーションを使い、守備はいいポジションを取って相手のカウンターを最小限にしていた。フル代表の韓国戦もそうだったが、ダブルボランチに安定感があった。中山雄太は状況次第で最終ラインに入り、渡辺皓太は敵ゴール前に顔を出し、お互いが関係性を重んじ、攻守にバランスを取っていた」

 エチャリは、「互角の試合」という結論を下している。エイバルで2シーズン監督を務めるなど、指導者として経験豊富な目は何を見たのか。そして、若きジャパンが「結果を変えられたかもしれない」分岐点とは??―。

「日本は4-2-3-1の布陣を組んでいる。もっとも、トップ下の久保建英はトップの田川亨介と並ぶ形で、4-4-2に近かった。どのポジションにも、テクニックレベルの高い選手をそろえていた。

0-1で敗れたU-24アルゼンチン代表との第1戦だが、久保建英のプレーは光っていた0-1で敗れたU-24アルゼンチン代表との第1戦だが、久保建英のプレーは光っていた たとえば、右サイドの三好康児は左利きの"逆足"(サイドと異なる利き足でプレー)で、ダイアゴナルのプレーに特長があった。ドリブル、クロス、シュートと非常にスムースだった。ただ、ボールを持ちすぎてしまう瞬間もあったか。

 アルゼンチンは4-2-3-1でスタートし、前半はペースを握っている。セカンドプレー、球際で競り合った後のプレーで、五分五分のボールをものにする力を見せた。無理な場合はファウルで止める荒っぽさがあり、それも含めてアルゼンチンらしかった。

 また、アルゼンチンは両サイドバックの攻め上がるタイミングのチョイスがよかった。フェルナンド・バレンスエラのゴールへ入るダイアゴナルのアクションも、たびたび日本を混乱させていた。トップのアドルフォ・ガイチを中心に制空権を奪ったのも大きかった。セットプレーも含め、どちらのゴール前でもアドバンテージを得ていたと言えるだろう。

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