スペインの知将がモンゴル戦を解析。功を奏した森保監督の采配とは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 代表撮影:日本雑誌協会

◆スペインの名将が韓国戦を分析。ボランチ2人を称賛「あえて苦言を言うなら...」>>

 エチャリは厳しい指摘をしつつも、後半のプレーについては高い評価を与えている。

「後半、日本は守田英正を下げ、浅野拓磨を投入している。フォーメーションも、4-2-3-1から4-1-4-1に変更した。遠藤航がアンカーで、伊東純也、鎌田、南野、浅野の4人が並び、前線に大迫勇也という形になった。

 森保監督が振ったこの采配は、大きく功を奏している。

 日本は後ろを軽くしたことで、ボールが前に速く入るようになった。技術レベルが高い選手たちがコンビネーションを使い、幅を取りながら、深みを作るようになる。相手ペナルティエリアでのプレーが増え、攻撃が活性化した。

 後半は、吉田麻也が伊東をめがけて出した縦パスなど、前への推進力が出た。その点、伊東の右サイドでのスピードを生かした攻め上がりは際立っていた。それによって、左サイドの浅野も躍動を見せる。結果、モンゴルは守備が手いっぱいになり、トップ下の鎌田が左に流れると、折り返したボールを大迫が叩き込んだ。

 これを口火に、後半だけで9得点が決まった。完全にラインを押し下げたことによって、ミドルシュートも面白いように決まるようになった。

 今後も、さまざまな戦況が考えられるだろう。その点、4-1-4-1での戦いはひとつのバリエーションになるかもしれない。前線の選手の躍動が印象的だった」

 エチャリは14-0という分析が難しい試合から、収穫を導き出している。

「試合結果そのものは大差がついて、大勝したという結果で、それ以上でも、以下でもないだろう。率直に言って、モンゴルに日本と戦うだけの力はなかった。

 しかし、その中でも、森保監督は前半から後半にかけてプレーを改善させている。迅速に、最短距離でボールを入れ、サイドから深みをつけることで、波状攻撃を生み出すことに成功。大勝に隠れがちだが、その采配は見事だった」

 エチャリは、変化・修正の重要性を強調した。それは次につながるアプローチなのだろう。次の代表戦は「6月シリーズ」だ。

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