モンゴル戦は評価できるデータ多数も油断は大敵。布陣と采配の改善点は? (3ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●代表撮影・日本雑誌協会

◆14点奪うより大切なこと。5-0にしないと挑戦できなかった日本代表>>

 しかし、それこそが日本とモンゴルの「個人能力の差」であり、モンゴルがチーム戦術で埋めきれない部分でもある。しかもこの試合のモンゴルの目標は、いかに失点を少なくするかではなく、何とか1ゴールでも決めたいという点に設定されていたため、失点を重ねても自陣ボックス付近に引きこもるまでの作戦はとらなかった。

 さらに日本も、自らをアピールすべく、高いモチベーションでピッチに立った途中出場選手が試合終了の笛が鳴るまで躍動。それらの要素が絡み合い、日本の記録的大量ゴールにつながったと言える。

 いずれにしても、例外的かつ稀有な内容の試合であったことは間違いない。

 そんななか、この試合には森保ジャパンのチーム強化を見ていくうえで、見逃せないポイントがあった。それは、森保一監督が後半開始からボランチの守田英正をベンチに下げて浅野拓磨を左ウイングに起用し、初めて4-1-4-1(4-3-3)を採用したのだ。

「大迫の1トップに、2人のシャドー(鎌田大地と南野)が入るかたちを試せたことは、新たなオプションができたと思っている。選手たちも、また新しいオプションを持てたと思ってくれていると思うので、今後の引き出しにしたい」

 試合後、森保監督は新布陣のテストについてそうコメントしたが、今後この陣形をオプションとして使っていくつもりなのかどうかは微妙だ。なぜなら、後半64分に吉田に代えて中谷進之介を、鎌田に代えて稲垣祥を起用すると、陣形は再び4-2-3-1に戻ってしまい、4-1-4-1(4-3-3)のテストは19分だけに終わったからだ。

 大差がついている試合で新システムをテストするなら、試合開始、もしくは後半開始からもっと長い時間を使って機能しているかどうかを確認したいと考えるのが普通だ。しかし、森保監督はそうしなかった。それよりも、後半に見せた選手交代の狙いは、2試合における選手のプレータイムを考慮してのものだったと考えるのが自然だろう。

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