モンゴル戦は評価できるデータ多数も油断は大敵。布陣と采配の改善点は? (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●代表撮影・日本雑誌協会

 さらに23分、今度は吉田麻也が中央に打ち込んだくさびのパスを南野がスルーし、背後で大迫勇也が受けて回転しながらマーカーを外してフィニッシュ。サイドを警戒する相手に対して幅をとることで中央の守備網を広げ、そこに生まれたスペースに縦パスを入れて攻略する、日本の狙いどおりの攻撃だった。

 以降、サイド攻撃を受けたあとに中央攻撃によって2失点目を喫したモンゴルは、中央エリアとサイドエリアの守備が混乱。とくに中央攻撃への警戒を強めるあまりに両SBと両サイドMFのポジショニングおよびマーキングが乱れ始め、日本の両サイドバックが高い位置をとっていない時も、最終ラインに6人が並ぶようになった。

 そうなると、中盤に空いたスペースを埋めるために1トップの11番(ナランボルド・ニャムオソル)が下がって守るようになってしまい、その結果、前線不在の6-4という陣形で、防戦一方の展開を強いられることとなった。

 その後、日本は26分と33分に伊東のクロスから得点を重ね、39分にも松原のクロスからオウンゴールを誘って、前半だけで5ゴールを量産。モンゴルの左サイドの守備を、完全崩壊させるに至った。

 結局、後半にも9ゴールを加点した日本は、この試合で前後半各29本、計58本のクロスを供給し、過去最高本数を更新。最多は伊東の20本で、つづいて松原が10本と、右サイドからは計38本を供給し、計20本を記録した左サイドを大きく上回った。

 一方、敵陣で記録した縦パスも、計41本(前半19本、後半22本)。前回対戦時の縦パスが計12本だったのを考えると、この試合が前回以上に一方的だったことがわかる。

 ただ、仮にモンゴルが1失点目のシーンで、松原のクロスに対して南野の前で足を伸ばした6番(ナルマンダフ・アルタグ)がカットできていれば、あるいは2失点目のシーンで大迫についていた2番(トゥグルドゥル・ガルト)が前を向かせていなければ、その後の日本のゴールラッシュは生まれなかったかもしれない。

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