田中碧の存在がU-24代表を激変させた「ピッチを上から見ている」 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 代表撮影:日本雑誌協会

 田中は中盤の底に陣取り、DFラインからのボールを受けると、両サイドにパスを散らしながらも縦パスを打ち込むタイミングをうかがう。もしボールが失われたとしても、素早い守備への切り替えで、高い位置から力強いプレスを仕掛けた。

 だが、その存在感が際立っていたのは、彼個人のプレーが優れていたことだけが理由ではない。ときに厳しい口調で周りの選手に指示を飛ばし、まさにピッチ上を"支配"していたからだ。

 最近は「(ピッチを)上から見ている感覚があり、どうすればハマるのかがイメージできるようになっている」という田中は、こう続ける。

「それを周りに伝えることで自分もやりやすくなるし、チームがいい方向へいく」

 文字どおり"ボランチ=舵取り役"となっていた田中なくして、初戦で苦杯をなめたチームが勝利を手にすることはなかったのではないだろうか。それほどまでにの存在感は絶大だった。

 振り返ってみると、先に記したアジアU-23選手権でも、日本はグループリーグ敗退という歴史的惨敗を喫したが、田中はひと筋の光明ともいうべきプレーを見せていた。

 東京五輪を目指すチームにあって彼の存在は、どちらかというと影が薄くなりがちな国内組であろうと、間違いなく重要度を増していた。

 昨季は川崎フロンターレの中心選手として、J1優勝に大きく貢献。22歳で伸び盛りのMFには、チャンピオンチームの主力としてプレーすることが大きな自信になったのだろう。今季最初の公式戦となったFUJI XEROX SUPER CUPでは、早くも圧倒的なパフォーマンスを披露していた。

 多くの局面でボールに絡む運動量。球際での争いの強さ。常にインテンシティの高いプレーを続ける様は、選手個々の能力が高い川崎にあっても出色だった。

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