久保建英も田中碧も日本選手は「無難」。アルゼンチン戦大勝も素直に喜べない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 ミスをしたくない気質がはっきり現れやすい場所は、サイドバック(SB)だ。アルゼンチンとの第2戦でスタメン出場した両SB原輝綺(右/清水エスパルス)、古賀太陽(左/柏レイソル)は何度、攻撃参加を仕掛けただろうか。高い位置で両ウイングと連係を図っただろうか。

 攻撃参加は近代サッカーではマストになっているとはいえ、リスクはつきものだ。実際に背後を突かれれば、SBは責められる。ポジションミスだと指摘される。評価を下げることになる。2人は無難にプレーしてしまった感じだ。

 この感覚は他の選手にも見え隠れした。もっとやれるのにやらない。やってミスすることを恐れている。慎重なプレーと言えばそれまでだが、消極的なプレー、リスクを冒さなすぎと指摘されても仕方がない。

 この日のアルゼンチンは、第1戦とは異なり、立ち上がりから引いて構えてきた。5バックになりやすい3バックを採用。後ろに多くの人員を割く守備的サッカーで臨んできた。理由は定かではないが、日本にとってはチャンスだった。普通に組めば、サイドで数的優位になるため、少なくともボール支配率は上がるはずだった。前向きなサッカーができる条件は整っていた。

 前半終了間際、日本は林のゴールで先制したが、一気呵成に攻め立てることはできなかった。恐る恐る攻めた。先制されたアルゼンチンは後半、布陣を4バックに変更。攻撃的に向かってきた。日本は守勢に回った。そうした中でセットプレーから板倉のヘディングが立て続けに決まった。本田圭佑、遠藤保仁がFKを立て続けに決めた、南アフリカW杯グループリーグ第3戦、対デンマーク戦を彷彿させるような展開となった。

 本番なら「番狂わせを演じた」と大喜びしていいが、これは事前に行なわれた親善試合だ。兜の緒を締めるべき試合になる。

◆期待裏切る結果も、三笘薫&旗手怜央の「川崎ライン」を見限るのは早計だ>>

 2ゴールを挙げた板倉は、この日は守備的MFとしての出場だった。第1戦はセンターバックだったので、決定力に加え、多機能性を発揮したことになる。久保とともに2戦連続先発出場したことは、監督の評価が高いことを意味する。この日の結果と合わせると、18人の五輪メンバー入りは濃厚と見ていいだろう。だが、得点シーン以外のプレーはどうだっただろうか。筆者としては合格点が出しにくいプレーに見えた。

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