中二日で劣勢を挽回、アルゼンチンに完勝も日本サッカーの今の実力は? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 代表撮影:日本雑誌協会

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 しかし世界基準で考えた場合、この勝利には少しも満足できない。それが図らずも証明されたのが、翌日に行なわれたU-24アルゼンチン代表戦だった。

 日本は得意とする細かい技術を見せ、少しも怯んでいない。コンビネーションを使った攻撃は脅威を与えていた。

 とりわけ、リーガ・エスパニョーラでプレーする久保建英(ヘタフェ)は堂々としたプレーを見せている。ドリブルの推進力を見せ、老獪にファウルを誘い、1対1で優位に立ち、鋭い反応からボレーを狙った。日本で彼だけは、アルゼンチンの選手に容易に飛び込ませない間合いがあり(止めるにはファウル同然のプレーが必要だった)、相手に挑発するような言葉も吐かせず、ひとりだけ敬意を払われている様子だった。

 しかし、チーム全体としては完敗だった。

 アルゼンチンは"密度の高いプレー"をした。プレッシングの激しさだけでなく、奪われた後の反応が鋭く、粘り強く、まとわりつくようで、奪い返すと、どう猛にゴールに迫る。その連続性は瞠目に値したが、それだけではない。試合の流れ次第で戦いを柔軟に変化させ、日本を翻弄した。死力を振り絞る相手には、あえて攻めさせ、網の目で狭めながら圧し潰したのだ。

 チーム戦術もあるが、個人の試合巧者ぶりが出た。そして決勝点のシーンで、日本は小さくて大きな差を思い知らされる。

 相手FWへの長いボールに対し、板倉滉(フローニンゲン)が対応した。しかし寄せが甘く、前にもっていかれてしまう。並走して対応したが、ゴールライン手前のギリギリのところで、ボールが出ると油断したのか、確実に中へ折り返される。そしてあろうことか、エリア内では相手FW1人を3人がフリーにする体たらくで、力のないボールを上半身の力だけで、ヘディングを叩き込まれた。

 同じようなシーンは、他にいくつもあった。一度目にバーを叩いたシュートの崩しも、やはり対応の甘さでクロスを楽に折り返されていた。二度目のバーへのシュートの時も、ディフェンスが易々と釣り出され、潰し切れずに裏を抜かれている。アルゼンチンの選手たちが、際のところで自由を許さなかったのとは真逆の軽さだった。

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