日韓戦完勝の理由がわかる数字。「ボールの出口」を見つけた日本と失敗した韓国

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 写真●代表撮影・日本雑誌協会

 結局、前半に韓国が記録したシュートはわずか1本。前半38分に9番(ナ・サンホ)が狙ったそのシュートも、韓国自らがつくったチャンスではなく、日本のパスミスによって生まれたシーンだった。

 一方の韓国も、日本のビルドアップ時には1トップの20番(イ・ガンイン)とトップ下の10番(ナム・テヒ)の2人が、吉田麻也と冨安健洋の前方に平行しながらポジションをとり、日本のダブルボランチへのパスコースを封鎖にかかった。その時の守備陣形は、4-4-2だ。

 ただ、狙いは日本と似ていたものの、問題は前線2人の立ち位置と、韓国のダブルボランチがそれに連動していなかったことだった。とりわけ前線2人の守備には甘さが目立ち、適切なポジションをとれないばかりか、アングルをつくるためにボールを持ち出す吉田と冨安の動きについていけず、フィルターの役割をまったく果たしていなかった。

 それにより、日本は容易に「ボールの出口」を見つけ出すことができた。CBからボランチにボールを預け、ボランチを起点に素早く敵陣に進入。あるいは、CBから直接前線の左右中央へパスを配給し、縦に速い攻撃を仕掛けた。

 前半に日本が敵陣で記録した縦パスが7本だったのに対し、自陣から敵陣に入れた縦パスは、自陣センターサークル付近も含めると実に18本を記録(失敗も含む)。その内訳は、CBの吉田と冨安が5本ずつ、ボランチの遠藤が5本、守田が2本で、残りは守備に戻っていた南野が出したミスパス1本。この数字だけを見ても、日本のほとんどの攻撃がCBとボランチを起点に展開されていたとわかる。

 相手に前から来られた時に「ボールの出口」を見つけたチームと、それを見つけられないチームの違いが、如実に表れた前半だった。これまで森保ジャパンの課題としてクローズアップされていた部分が、この試合では韓国にあてはまったことになる。前半で日本が2点をリードし、対する韓国がほぼ何もできなかったのは、極めて論理的だった。

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