久保建英、三笘薫ら前線の関係に疑問。アルゼンチンに惜敗ではなく完敗 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Ssno Miki

 左利きであることも、1トップ下の選手として災いしているように見える。進行方向が読みやすいのだ。両利きの選手はいないが、両利きに見える選手はいる。格闘技で言うところの"半身"の体勢がきつくない選手だ。真ん中の位置で久保が半身の体勢を取ると、攻撃の方向性は限られてくる。相手は守りやすくなる。

 さらに言うならば、相手ゴールを背にしてプレーするポストプレーも得意ではない。1トップの田川が、どちらかと言えば、最終ラインの背後を突く動きを得意にするタイプなので、その下で構える選手には、鎌田大地(フランクフルト)、大迫勇也(ブレーメン)のような魅力がほしい。

 さらに、右で構える三好も半身のきつい左利きだ。三好と久保が隣り合わせでプレーすると、シルエットが重なって見える。同じ選手が2人いる錯覚に陥る。ほぼ同じタイプの左利きなので、コンビとしての相性もよくない。

 縦突破を狙う左の三笘とは異なり、三好は縦を突くことができない。ドリブルを開始すると十中八九、内へ入る。その瞬間、久保的になってしまう。その下で構える右SB菅原由勢(AZアルクマール)とコンビネーションプレーを仕掛けることはまずない。

 三笘と旗手のような関係が、右サイドではまったく築けていないのだ。前日のA代表は、南野拓実(サウサンプトン)と佐々木翔(サンフレッチェ広島)で組む左サイドが、伊東純也(ゲンク)と山根視来(川崎)で組む右サイドに比べて、機能しなかったと指摘したが、この日はその逆。右からの攻撃は皆無に等しかった。

 U-24アルゼンチン代表とは、北九州に場所を移して、29日、再び対戦する。第1戦の内容がどこまで検証され、改善されるか。特にアタッカー陣、4-2-「3―1」の「3-1」の関係に注目したい。 

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