日本代表に縁のなかった実力者たち。「シャドージャパン」を選んでみた (4ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo
  • photo by Getty Images

◆大谷秀和と長谷部誠。「同じ選手は必要ない」という日本代表の宿命>>

 ゲームメークをするのは髙萩洋次郎と大島僚太。ユース時代の髙萩は天才的なボールプレーヤーで、ボール扱いはうまいが淡白な印象の選手だったが、その後、海外経験を積むうちにスタイルを変化させ、汗かき役もできる総合的なMFに成長している。

 大島は、高いテクニックを生かした理詰めのゲームメークができる選手。招集されるたびにケガに泣かされる不運で、代表には定着できていないが、これから何年かは"絶対王者"の川崎フロンターレで攻撃のタクトを振るって活躍をつづけることだろう。

 GKには東口順昭を選んだ。シュートを止める技術だけを考えれば、現代の日本で最高の選手かもしれない。日本代表の正GKになっていてもおかしくはない選手だ。ただ、GKはチーム内で1つしかポジションがなく、またチームづくりのために固定されることが多く、これまでにも多くの優秀なGKが「セカンドチョイス」あるいは「第3キーパー」の地位に甘んじてきた。

◆ ◆ ◆

 いつの時代にも、どこの国にも、「あの選手は、なぜ代表に呼ばれないのだろう?」と思わせる選手はいる。たまたま、同じポジションに天才的な選手がいるとか、もっと極端に言えば、その時の代表監督とウマが合わないとか、その理由はさまざまだ。

 なにしろ、あの遠藤保仁でさえ、シドニー五輪では予備登録選手の地位に甘んじ、ドイツW杯ではフィールドプレーヤーとして唯一出場機会が与えられなかったのだ。また、代表でもあれだけ大活躍した中村俊輔も、ワールドカップにはあまり縁のない選手だった。

 ただ、ユース時代までは天才の名をほしいままにしながら、フル代表に定着できなかった選手の多くは、代表入りに対しての意欲が足りなかったというケースが多いような気がする。

 数少ないポジションを争う代表で生き残るためには、時には監督の要求に従って自分の本来のポジションでない位置でもプレーして、サポート役、汚れ役もこなす覚悟=貪欲さが必要なのだろう。

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