家長昭博と本田圭佑。代表キャップ3と98は何を物語っているのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

「僕はできれば、試合でもミニゲームのようにパスをつなぎ、相手をちんちんにしてゴールしたいんです」

 彼はかつてそう語っていた。川崎で見せるプレーは、理想の延長線にあった。

 家長はJリーグMVPに輝いたが、代表復帰は果たしていない。次世代の突き上げがあったからだ。南野拓実、久保建英、堂安律のような若手アタッカーが次々に台頭した。しかし激流の時代の中でも、杭を突き刺し、踏みとどまり、サッカーの楽しさを人々に見せ続けている。

 2020年シーズン、圧倒的な優勝を飾った川崎で、その劇場性によって話題をさらったのは三苫薫だが、最もコンスタントに攻撃的サッカーを作り上げたのは家長だった。ボールを収め、時間を作り、チームを動かし、決定的仕事もした。29試合出場11得点。同世代の選手で、これだけの成績を残している日本人選手はいない。長い年月をかけ、本田を逆転したと言っていい。

「どれだけつらいことがあっても、サッカーをやれる喜びは勝つので」

 そう語る家長は硬骨の人だ。

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