福田正博が三笘薫を激推し。日本代表でも見たい秀逸な動きを解説 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Kishiku Torao

 名前を挙げればキリがないほど、ルーキーの当たり年だったが、その要因のひとつには新型コロナ禍でリーグが変則開催になったことがあるだろう。過密日程でメンバーを固めて試合に臨むのが難しく、若い選手も出場機会を得やすかった。また、交代枠が5人に拡がったことも若手起用への後押しになった。

 彼らは、与えられたチャンスで結果を出したからこそ出場機会を増やしたのだが、その大卒ルーキーたちのなかでもっとも輝いた選手と言えば三笘薫だ。

 新人最多ゴール記録に並ぶ13得点をマークした得点力と、相手ディフェンスを切り裂くドリブル。この攻撃力は、いま日本代表でいちばん見たいものでもある。

 三笘は、J1で輝きを放ったとはいえ、国際レベルの試合では海のものとも山のものともつかない。守備面に目を向ければ、課題があるのも事実だ。しかし、彼の攻撃力には魅力が詰まっているし、まだまだ伸びしろもある。それだけに、さらなる覚醒のキッカケになればという意味も込めて、日本代表でのプレーを見たいと思う。

 三笘の武器は、ボールを受けてからのドリブル突破だが、彼がサイドで輝いている理由はそれだけではない。ボールをもらう前の動きが秀逸なのだ。

 ドリブルが得意な選手というのは、足元でボールをもらうことが多いが、この場合相手DFは足元に入るプレーだけ意識すればいいので、間合いを詰めて対応しやすい。

 しかし、三笘の場合は足元でボールを受けるだけでなく、DFの裏のスペースへ走って、そこに味方からのパスを引き出すこともできる。これがあるために、DFからすると三笘の足元にボールが入った時に簡単に飛び込めないので、非常に厄介になる。足元に入るボールを狙うと裏を取られ、裏をケアして間合いを開ければ、足元でパスを受けてから仕掛けられてしまう。

 しかも、三笘のドリブルはタテにも突破できるし、中央に切れ込んでいくパターンもある。また、右足アウトサイドを使ってのパスを常に匂わせながらドリブルするため、これもまたDF泣かせだ。そして、シュートへの意識が高いのも、彼の魅力を高めている理由である。

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