柱谷哲二が語るドーハの悲劇。イラク戦で投入してほしかった選手の名は【2020人気記事】 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

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 アメリカW杯最終予選のサウジアラビア戦は0-0のドローに終わった。続くイラン戦、日本は1-2で敗れて早くも土壇場に追いやられた。

「サウジはいちばん力があるチームなので、ドローはまあしょうがないという感じだった。でも、次のイランに負けたのは誤算だった。ロッカーでラモス(瑠偉)が『向こうがユニフォームを泥だらけにして必死に戦っているのに、俺たちは誰のユニフォームが汚れている? これで勝てるわけねぇーだろ』って怒っていた。そのとおりだなって思ったね」

 イランは、ラモスを徹底的にマークして潰し、左サイドバックに入った三浦泰年のサイドを集中的に攻撃してきた。その結果、柱谷曰く「最悪のゲーム」をして勝たなければいけない試合を失った。ホテルに戻っても敗戦のショックが続いていたが、中山雅史と都並敏史が盛り上げてくれた。

「その時、3つ勝てばいいじゃんって気持ちを切り替えた。そもそも最終予選は全勝が目標だった。2つは取り損ねたけど、あと全勝すればなんとかなる。オフトも気持ちを切り替えて、次の北朝鮮戦でシステムを4-3-3にした。勝負に出たなって思いましたね」

 長谷川健太を右のウイングに置き、サイドを徹底的に突くことでチームに勢いと流れが生まれた。北朝鮮戦に3-0で勝ち、韓国戦もカズの決勝ゴールで、1-0で勝利した。この時点で日本は得失点差でサウジアラビアを抜いてグループ首位。最終戦のイラク戦に勝てば、W杯初出場が決まることになった。

「韓国に勝って、カズやみんなが泣いて、俺も一瞬、グっときたけど、ラモスの顔を見たら厳しい表情をしていたんでハッとしたよ。すぐに、『テツ、まだ終わってないよ。これからだよ』って言われた。たしかに自分たちは、韓国に勝つためにここに来たわけじゃない。韓国戦はW杯に行くための通過点にすぎない。ただ、そのことをラモス以外は、あまりわかっていなかったと思う」

 韓国に勝ってもW杯に行けるわけではない。まだ何も決まっていないのに、決まったかのように泣いて喜ぶ選手たちに、ラモスは違和感を覚えたのだろう。その日からイラク戦までメディアはもちろん、チームメイトも遠ざけるようになった。

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