「日本のメキシコ戦敗北は必然だった」スペイン人指導者が警告

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

「前半15分からの日本のプレーはすばらしかった。パナマ戦からのシステムの変更が功を奏していた。しかし後半になって、そのよさが跡形もなく消えてしまった」

 スペイン人指導者、ミケル・エチャリは、日本がメキシコに0-2と敗れた試合について端的に指摘している。

 エチャリはハビエル・アギーレ元日本代表監督など、多くのメキシコ人指導者とも親しい。中南米での監督講習にも何度も招かれてきた。レアル・ソシエダの強化部長時代は、メキシコ人選手もスカウティング。戦略分析担当だった時代には、日本戦でもプレーしたDFエクトル・モレノがレアル・ソシエダでプレーしていた。

 そのエチャリは、どのようにメキシコ戦を分析したのか。

後半は防戦一方となってしまった日本代表のメキシコ戦後半は防戦一方となってしまった日本代表のメキシコ戦「日本はパナマ戦の3-4-2-1から4-4-2(4-2-3-1というより、両サイドの位置が鎌田大地より低いので)にシステムを変え、メキシコに挑んでいる。メキシコの4-3-3とのかみ合わせを考えれば、悪い変更ではなかった。オーソドックスな布陣で構えることで、相手の隙を見つけ、ペースをつかむことができた。

 もっとも、序盤はメキシコが組織として落とし込まれたハイプレスからペースをつかんだ。アンカーのルイス・ロモがバックラインに入って、ビルドアップに参加し、インサイドハーフがパスコースを作り、サイドバックが高い位置を取って、ポゼッションでも優勢だった。熟練したチームの印象を与え、各選手のポジションバランスがよく、日本を苦しめた。

 しかし、日本は10分にボール奪取から鎌田が絶好機を作り(このときは鈴木武蔵の入り方が遅かった)、11分に原口元気がGKのセービングを繰り出させるミドルシュートを放つなど、裏を突く形でペースを奪い始める。15分を過ぎると、日本はそれぞれのラインがいい距離感を保ち、メキシコのプレッシャーを回避。ポゼッションを挽回すると、ボランチの遠藤航がボールを動かし始め、柴崎岳がそれを援護する形になった。

 プレーのカギを握っていたのは、鎌田大地である」

 エチャリは序盤の攻防を如実に説明しつつ、鎌田のプレーセンスのよさについて言及した。

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