日本が悩むストライカー育成。ウルグアイから学ぶべきことは何か?

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

 バビーフットボールとは、フットサルよりもさらに狭いコートでやる6人制のサッカーである。

「コンタクトプレーが多く、相手はスライディングしてボールを奪いにくるし、ボールがタッチラインを割ったらスローインなので空中戦もある。彼らはそのなかで相手を背負ってターンをしたり、シュートをしたりして、ゴールを狙います。ここでストライカーに必要な身のこなしや駆け引き、得点感覚を磨いているわけですね」

 バビーフットボールは12歳まで行なわれ、そこからいい選手が各クラブのスカウトに引き抜かれていく。そしてその幼い頃から激しい競争がある。

「たとえ10歳くらいの子どもでも、点が取れなかったら交代。競争のなかでストライカーとしての技術を磨いていくんです。日本の場合はなんでも平等にプレーさせたがりますが、ウルグアイではあり得ない。こうした激しい競争のなかで、生き抜く術や、点を取る術を身につけています」

<周囲を理解することも大切>

 そもそも、日本と南米では『ストライカー』の概念から異なるそうだ。

「日本の場合は前線のFWのポジションの選手=ストライカーと言われますが、南米の場合は『ゴレアドール』と言って、点を取る選手をストライカーと言うんです。チームでいちばん点を取った選手、得点王を獲得した選手、そうやって結果を残した選手がストライカーとして認められます。

 ウルグアイでは『ストライカー=自分が主役』ですし、ゴールを決めチームを勝たせるのが仕事です。一方、前線の選手はゴールに絡み、チームの勝利に貢献するのが仕事。ストライカーと前線の選手は違うと、全員が理解しています」

 そして、いいストライカーになるには強さやテクニックだけではなく、周りを理解するのも大事だと松原氏は言う。

「監督のサッカーの志向や、味方の特徴。例えば選手によってパスの出し方やタイミングは異なるので、ボールを受けるほうも走り出すタイミングが違いますよね。そういうアシストしてくれる味方のクセを理解するのも大事なんです。また、相手はどう攻撃して守備をするのか、マークしてくるDFの特徴や試合の流れを読み取ることも大切ですね。ストライカーは点を取るために何が必要かよく理解しています」

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