日本が悩むストライカー育成。ウルグアイから学ぶべきことは何か? (2ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

「07年にU-20ワールドカップがあって、同じタイミングでコパ・アメリカも開催されました。その時、19歳のスアレスをフル代表に連れていくこともできたんですが、タバレス監督は育成のサイクルを狂わせたくないと、スアレスをコパ・アメリカには帯同させず、ワールドユースに出場させました」

 スアレスほどの才能であれば、どの国でもすぐにフル代表に帯同させようと考えるだろう。しかし、タバレス監督は育成プロジェクトを優先した。その育成プロジェクトが大きな結果として表われたのが10年の南アフリカW杯(ウルグアイはベスト4)。これをきっかけに育成はさらに進んだ。

「ウルグアイはU-20までに40のコンペティションで試合をします。それまでは協会にそんなお金はなく難しかったのが、南アフリカW杯やコパ・アメリカで結果を出したことで、さまざまな大会に招待されるようになりました。それでいろんな国と試合ができるようになったと言います。それは育成環境としては大きな点です」

 その恩恵を受ける形で育て上げられたのが、現在ユベントスでプレーするロドリゴ・ベンタンクールやレアル・マドリードのフェデリコ・バルベルデ、アトレティコ・マドリードのルーカス・トレイラなどだ。現在のウルグアイ代表の中心を担うようになった世代である。

「ウルグアイで活躍できれば、ヨーロッパでのチャンスがある。ただ、ヨーロッパに移籍して終わりではなく、選手たちは絶対に勝ちたい、成功したい、という気持ちがとても強い。その想いの強さが顕著なのがストライカーですね。フォルランやスアレス、カバーニのようになりたい、と目標を持っています。これもウルグアイの長期プロジェクトによる結果でしょう」

 ストライカーに限らず、ウルグアイは国を挙げて才能を確実に吸い上げ、育て上げる環境を整えてきた。ではその才能自体はどう生まれてくるのか。そのルーツがある。

「南米ではアルゼンチンなどでも有名ですが、ウルグアイの子どもたちも6歳頃からバビーフットボールを毎週末のようにやっています」

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