「ポット4」の日本の現状を鑑みれば、
確かな収穫があったメキシコ戦

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 2年後のワールドカップでベスト8を目指すとは言っても、本番までにベスト8が当たり前の実力を身につけるのは難しく、一発勝負で"ワンチャン"を狙う。残念ながら、それが現状における日本のベスト8進出計画だ。

 だとすれば、この試合の内容が持つ意味も変わってくる。

 日本はノーゴールで敗れはしたが、守備に追われっぱなしのなかで、たまたま作れたチャンスを悔やんでいるわけではない。テンポのいいパスワークから狙いとする形を何度か作り、メキシコゴールを脅かした。それらは、わずかながらでも"ワンチャン"の可能性を高める要素に他ならない。

 もちろん、原口が言うように、「僕らがイケると思ったときに、メキシコは修正してきたが、僕らは苦しい時間になって修正力を出せなかった」のは確かである。しかし、"本当のメキシコ"には歯が立たなかったからといって、前半の戦いまで評価を下げる必要はない。それはそれで、現状での両者の実力差を認めたうえでの、確かな収穫である。

 加えて、10月の2試合も含めた一連の強化試合で、新たな戦力が台頭してきたことも収穫と言っていいだろう。

 世代のサイクルで言えば、2年後のワールドカップでは、いわゆるリオ世代がチームの主力になることを期待されている。そんななか、遠藤を筆頭に、鈴木、鎌田大地ら、まさにリオ世代の選手たちが所属クラブでの活躍をベースに、日本代表でも従来の序列を確実に崩し始めた。

 彼らにしても、まだまだ絶対的な地位を築いているわけではないが、それでも1年前の日本代表と比べれば、かなりポジティブな変化である。

 ポット4の国らしく力不足は認めたうえで、この敗戦をもう少し前向きに捉えたい。

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