森保ジャパンに改善案はないのか。ビルドアップ、左SBと課題に進展がない (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 日本が前半に見せた敵陣でのくさびの縦パスは、柴崎の2本と植田の1本の計3本のみ。自陣から敵陣に運ぶ縦パスが8本、最終ラインから前線に入れるロングフィードは5本だった。その成否にかかわらず、いかに自陣でプレーする時間が長かったかが、これらの数字からも見て取れる。

 象徴的だったのは、前半に記録したサイドからのクロスボールの少なさだった。両ウイングバックの位置が下がってしまったうえ、自陣でプレーする時間が長かったため、その本数は、長友の1本(16分)と久保の2本(23分、35分)の3本のみで、いずれも左サイドからのクロスだった。

 後半、「元々のプランだった」と試合後に語った森保監督は、橋本に代えて遠藤航をボランチに投入し、引きつづき3バックを継続。10月のカメルーン戦では、「試合の流れを見て」(森保監督)4バックから3バックへシステム変更を断行したが、今回はリズムの悪い前半を終えてもシステム変更は行なわなかった。

 この采配については、これまで3バックを使う機会が少なかったことを踏まえ、目先の勝利よりも来年以降のチームづくりを考えての選択だとすれば、現段階においては問題視する必要はないだろう。

 しかし、この選手交代以外、プレスを回避して敵陣にボールを運ぶ方法について修正された部分が、とくに見当たらなかった点は問題だった。

 後半も立ち上がりからパナマの攻勢を許してしまい、47分には9番に、48分には10番にそれぞれシュートを放たれるなど、引きつづきパナマのペースで幕を開けてしまったからだ。

 とはいえ、後半はパナマに変化が見られた。前半のハードワークによる疲労の影響なのか、とりわけファーストディフェンダーの9番と、日本のボランチのひとりをマークする5番の動きが、急に緩慢になり始めたのである。

 54分、日本は植田、三好、南野と素早く縦パスをつなぎ、南野が右からクロスを入れると、ゴール前に走り込んだ長友がシュート。惜しくも長友のシュートは枠をとらえられず、これを最後に長友は原口元気と交代したが、このシーンはパナマの守備がほころびを見せ始めた合図と言えた。

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