2020.10.26

20年前の若き日本代表は、苦境を跳ね返し
「大人の集団」になっていった

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki

準決勝の中国戦。自らのミスで失点を許すも、貴重なゴールも決めた明神智和。photo by Getty Images準決勝の中国戦。自らのミスで失点を許すも、貴重なゴールも決めた明神智和。photo by Getty Images  名波浩によれば、「明神は失点に絡んだ責任を感じていたんでしょうね。もう泣きそうだったから」というほどだった。準々決勝のイラク戦に続くビハインドの展開に、いよいよ日本は土俵際まで追い込まれたかに思われた。

 だが、ここで日本を救ったのは、またしても中村俊輔のFKだった。

 痛恨のミスで許した逆転ゴールから、わずか4分後の後半8分。日本は西澤明訓がファールを受け、ゴールのほぼ正面、距離にして25mほどの位置でFKを得ると、これを中村が直接狙う。

 鋭く曲がり落ちるようにゴールへ向かったシュートは、惜しくもクロスバーに弾かれたが、はね返ったボールを西澤がダイビングヘッドで押し込んだ。

「本当にホッとしました」

 心の底からの思いを口にする明神だったが、自分の手で"かたをつける"のは、このあとだ。

 後半16分、敵陣で縦パスを受け、前を向いた西澤から、ペナルティーエリア右脇へ流れた高原直泰へパスが出る。すると、そのタイミングを待っていたかのようにニアゾーンへ走り込んできたのは、明神だった。

「FWに(縦パスを)当てて、FWがしっかりキープするなかで、2人目、3人目が飛び出していけっていうことはずっと練習でやっていました。タカ(高原)にボールが入った。じゃあ、次はどこでボールに絡むのか。普通なら外から追い越していくところですが、思ったよりもタカが外に流れたので、ここは中に進路をとるべきだと思いました」