「最強」2000年アジアカップの日本代表はそれまでと何が違ったのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「世界で戦ってきた選手たちが、アジアを相手に子ども扱いする。そのくらいプレーの強度も、質も、スピードも、すべてが違った。そんな(試合の)入りだったので、(ベンチは)あまり仕事がなかったですよね」

 最終スコアは4-1。サウジを相手に歴史的、と評していいほどの大勝を収めた。明神が語る。

「大会初戦で、しかも相手はサウジ。監督も一番大事な試合だとずっと言っていたし、自分も正直、(コンディションが悪く)90%くらいはスタメンじゃないと思っていたのが、出発直前にホテルで(先発出場を)言われて、少し焦るというか(笑)。大丈夫かな、という感じだったのに、結果は4-1。

 今振り返ってみても、このサウジ戦で内容を含めて圧勝できたことが、自信を持ってその後の試合を戦えた一番の要因になったと思います。その後の試合は、まるでゾーンに入るというか、あれこれ考えて、というよりも、体が自然に動いてプレーできるという感じでした」

 名波もまた、この勝利の価値の重さを実感していた。

「初戦でサウジに対して、内容よく勝てた。拮抗しているのかなって感じながら入った試合でもあったので、あの勝利は大きかったと思いますね」

 勢いに乗る日本は続くグループリーグ第2戦でも、これまたアジア屈指の強豪国であるウズベキスタンを8-1と、怒涛のゴールラッシュで葬った。

 初戦に続き、よもやの圧勝。だが、2戦目になると、すでに選手の意識には変化が生まれ始めていたことを、明神は明かす。

「強いって言われていたサウジを相手に、内容も含めてあれだけの結果が出せたので、やることをしっかりやれば(勝てる)、っていう思いはありました。途中で相手も(集中力が)切れましたけど、前半を戦いながら、自分たちが気を抜かずにやれば、これくらいの差はつくのかな、という感覚はありました」

 名波にしても、「サウジ戦の自信があってステップアップできた試合なので、サウジ戦ありきだとは思うけど」と注釈したうえで、「その勢いだけでは8点も取れていない」と、ウズベキ戦の内容がさらによくなっていることを感じていた。

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