スペインの知将がコートジボワール戦で「日本が挽回できた理由」を分析 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 日本サッカー協会●写真 photo by JFA

 一方、攻撃は単発に終わっている。伊東純也、室屋成の右サイドのほうが目立ったが、前に侵入しても、クロスが合っていない。技術的なミスもあったが、コートジボワールがチームとして、それぞれのゾーンをカバーできていた点が大きいだろう。

 日本は攻守で後手に回って、相手のやり方に対応せざるを得なかった。それは守備で顕著に出た。プレスがかからない中で孤立した遠藤は、迫りくる敵の封鎖、カバーに追われ、背後にスペースを与えてしまい、その連鎖がチームとしての不具合になっていた」

◆「ミケル・エチャリのカメルーン戦分析」>>

 エチャリは柔らかい表現ながら、その戦いを批評している。日本はチームとしての仕組みに綻びがあった。ただ後半、森保ジャパンの戦い方は変化したという。

「後半の日本は、私の好みに近かった。柴崎が前半よりもポジションを少し後ろにとって、完全に4-2-3-1にしたことで、ボランチ同士でカバーができるようになり、落ち着きが出た。ロングボールを蹴り込む機会が顕著に減って、バックラインから足元にパスが入るようになった。これでようやく、サイドの久保建英、伊東の役割が明確になって、トップ下の鎌田大地も躍動した。

 後半のベストプレーヤーは鎌田だろう。GKと1対1になったシュートは決まらなかったものの、鈴木武蔵、南野拓実と中盤のラインをつなぎ、コンビネーションの核となった。卓越した技術で、攻撃を活性化させていた。

 南野、原口元気という2人の交代起用も当たった。

 南野は左サイド、トップとゴールに近い位置で、そのキャラクターを出していた。鎌田との連係もよかった。スカウティングのメモを見直しても、2人のコンビネーションに対し、記述が多い。

 そして、原口にはあらためて高い評価を与えたい。左サイドでプレーしたが、攻守両面でチームにアドバンテージを与えていた。人に対して強く、高い強度で守り、攻められるだけに、監督なら信頼を与えられる選手だ」

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