森保采配における変化の兆候。レアケース発生で3バック化は加速するか (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • 日本サッカー協会●写真 photo by ©JFA

日本サッカーは名FKキッカーが絶滅の危機>>

 もうひとつは22分に見せた右サイドの攻撃。堂安と大迫のパス交換から、最後は酒井がマイナスのクロスを入れて、ゴール前の南野がシュートするに至っている。いずれも、ダイレクトパスを使った森保ジャパンらしい連動性のある攻撃だった。

 しかし、それ以外に特筆すべき攻撃シーンはなかったのが現実だ。

 それを象徴するかのように、森保ジャパンのバロメーターでもある敵陣でのくさびの縦パスは3本のみ(そのうち1本は失敗)。ダブルボランチからの縦パスがゼロだったうえ、最大の武器でもある大迫のポストプレーが成功したのも1度だけだった(37分)。また、サイドからのクロスボールもわずか3本で、そのうち唯一成功したのが前述22分の、南野のシュートシーンである。

 またしても繰り返された同じタイプの機能不全。前半を見る限り、森保監督の采配からは、過去試合の検証から導き出されるべき改善策を見ることができなかった。

 ところが、後半開始から森保監督が動いた。安西をベンチに下げて伊東純也を投入すると、布陣を3-4-2-1へチェンジしたのである。

 過去A代表で森保監督が3バックを採用したのは、昨年6月のトリニダード・トバゴ戦とエルサルバドル戦の計2試合。試合途中のシステム変更については、そのエルサルバドル戦以来、今回が2度目だ。

 ただし、エルサルバドル戦では予め選手に試合途中のシステム変更を伝えていたのに対し、今回は「準備の段階で4バックも3バックも試したなか、試合の流れを見て(決めた)」(森保監督)と、布陣変更時のシチュエーションが異なっている。

 ちなみに、エルサルバドル戦では3バックから4バックへの変更だったため、今回のケースはその逆パターン。また、その試合で両ウイングバックを務めていたのは原口(左)と伊東(右)で同じだった。

 試合後、システム変更した戦術的理由を問われた森保監督は、次のように答えている。

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