森保ジャパンで注視すべきは前半の戦い。これではW杯ベスト8は夢の夢 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 出たとこ勝負。真ん中付近の難しいエリアで難しいパス交換をし、あっさり奪われるケースが目立った。パスが有効に繋がる美しいサッカーはどちらかだったかと言えば、カメルーンだった。

 この試合の一番の誤算はここにある。「連係・連動」という言葉を好んで口にする森保監督だが、ガチンコ勝負となった前半は、それがまるでできなかった。

 原口元気、堂安律はサイドでフリーな状態でボールをもらえず、その背後で構えるサイドバックとのコンビネーションを図る機会も少なかった。エース格の南野拓実と大迫勇也にしても、何かをしたというわけではなかった。攻撃はサッパリだった。中でもひ弱に見えたのが柴崎岳と中山雄太で構成する中盤の真ん中だ。相手の勢いに飲まれていたという印象が強い。

 先述のとおり、ラスト10分で流れは日本に移ったが、それ以外の時間で決定的なチャンスはもちろん、惜しいチャンスさえほとんど作れなかった。重く見るべき事態だと思う。展開力のないサッカー。選手の感覚に任せた、出たとこ勝負のサッカーでは、W杯ベスト8は夢の夢。交代選手(久保、伊東)の活躍で、終わり方がよかったように見えたカメルーン戦だが、そちらに目を奪われすぎると本質を見誤る。見るべきは前半の戦いぶりにあり、なのだ。

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