森保ジャパンで注視すべきは前半の戦い。これではW杯ベスト8は夢の夢 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by KYODO

 いわゆるテスト色の強い交代は、後半41分に投入した菅原由勢(原口元気と交代)のみだった。勝ちたかったから、ではないだろうか。勝ち気がテストを大きく上回った結果ではないだろうか。

 これまで、森保監督はこのパターンをくり返してきた。敗戦を恐れるあまり交代が遅れる。あるいは、交代枠を使い切れないという好ましくない采配をくり返してきた。今年1月に行なわれた直近の試合=アジアU-23選手権の初戦、対サウジアラビア戦などはその典型的な例になる。森保監督への信頼感が大きく揺らいだ瞬間でもあった。その采配は今回のカメルーン戦、13日に行なわれるコートジボワール戦の、一番の見どころといっても過言ではなかった。

 親善試合の後半は、両監督が交代カードを切り合う場となるため、交代枠3人で行なわれる公式戦等に比べ、内容は慌ただしくなる。落ち着かない展開になる。どちらかと言えば、点が入りやすい状況になる。そうした中で、変に勝負にこだわる監督もいたりするので、親善試合の後半は何かを語る場として適さないのだ。真実が宿るのは前半の戦いになる。

 カメルーン戦の前半。日本は4-2-3-1の布陣で高い位置からプレスを掛けにいった。前のアタッカー4人が、カメルーンのディフェンダーに忠実にプレッシャーを掛ける。3回に1回程度、それがうまくいった。しばしば高い位置で奪還することに成功した。

 ボールを同じラインの高さで、同じ回数奪い合えば、ボール支配率は50対50に近づく。ボール支配率は、ボール奪取と密接な関係にある。とすれば、日本の支配率はもっと高くていいはずだった。だが、その関係はカメルーンの57対43だった。

 カメルーンは、3回に2回程度、日本のプレスをかいくぐるとボールをよく繋いだ。4-3-3の特性を活かし、両サイドを広く使ってパスを展開した。パスを繋ぐサッカーが好きな日本を、その点で上回った。

 日本はせっかくボールを奪っても、すぐに奪い返されてしまった。展開がまったくできていなかった。パスコースが多いはずの4-2-3-1の特徴を出せずじまいだった。

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