川口能活に聞く。Jリーグの若手GKが韓国人からレギュラーを奪うには? (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

 GKはサイズだけでは完結できない、技術・戦術・フィジカルというのがある。そして、何より信頼感が大切。プレーはもちろんのこと、プラスアルファであるチームを勝たせられる力。結局のところ、そこが大きいと思うんです。だから、若いGKが少しずつ試合に出てきていますけど、そこも競争ですよね」

 では、チャンスを積みつつある若手GKたちが次のステージに行くためには、何が必要なのか。聞けば、川口はきっぱりと「勝ち続けるしかない」と語った。

「誰しもターニングポイントになる試合があると思うんです。そこで勝つことによって、『この選手に任せれば大丈夫』という信頼を勝ち取れる。アスリートでありながら、勝負師でもなければならない。だから、そのポイントを逃さないということもすごく大切だと思うんです。

 結局のところ、ポジションはひとつしかない。やっぱり戦いなんです。これはGKを選んだ選手の宿命。だから、若い選手たちにしてみれば、出場機会を掴んだ毎試合がターニングポイントだと思いますし、それを1年、2年、そして3年と続けて、ようやく正GKと呼ばれる立場になっていくんじゃないかと思います」

◆「Jを席巻する韓国人GKに代わって、若手日本人GKが台頭し始めた理由」はこちら>>

 思い起こせば、川口自身もそうだった。横浜F・マリノスでプロになった1年目は、出場機会を得ることすらできなかった。プロ2年目で掴んだチャンスを活かしたこと、その1995年にJ1優勝という結果に貢献したことで、一歩ずつ地位を築いていった。

 ただし、GKの先達として、指導者のひとりとして、こうもメッセージを送る。

「それでも、ミスを恐れずにプレーしてほしいですよね。自分の可能性を広げるためには、チャレンジするしかない。だから、現時点でできる自分のプレーに収まるのではなく、さらに自分の可能性を広げるプレーをしてほしいなと。

 さらに言えば、ミスをしたとしても、そのあとが大事になる。変わらず続けることで、失敗を成功へと結びつける。その成功体験を掴むことを、僕は指導者としても望んでいますし、期待してもいます。

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