遠藤航が語るリオ五輪予選リーグ敗退の真相。「初戦がすべてだった」 (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 U-23アジア選手権を優勝したチームは、遠藤曰く「一体感に満ちたチーム」だったという。それゆえ、遠藤個人としては、そのチームの編成をあまり変えてほしくなかった。

 しかし悲願のメダル獲得のために、手倉森監督は、DF塩谷司、DF藤春廣輝、FW興梠慎三と3名のOA選手を招集。アジアを制したメンバーからリオ五輪に行ける選手の枠は、わずか15名へと削られることになった。

「OA枠の選手が(チームに)入ってきたことは悪いことではないし、戦力になってくれたので、感謝しかないです。それでも、(OAの選手とは)短時間で合わせていかなければいけない難しさを感じたのは確かです。

 また、個人的には、試合に出られなくなった選手たちに対するマネジメントが欠けていました。(エースFWの久保)裕也が所属チームの事情で直前になって(リオ五輪に)参加できなくなったりして、チームがバタバタするなかで、それを何とかしなければいけないのがキャプテンの仕事だったんですけど......。その点では、僕の力不足でした」

 リオ五輪は、ナイジェリア、コロンビア、スウェーデンと同組だった。上位2チームが決勝トーナメントに進出できるが、戦前の予想では、アフリカ最強のナイジェリア、南米のコロンビア、そして日本の「三つ巴の争いになる」と言われていた。遠藤自身、強豪相手にも「簡単ではないが、グループリーグを突破できると思っていた」という。

「とにかく初戦のナイジェリアですよね。ロンドン五輪で、日本が初戦のスペイン戦に勝って勢いがついたのを見ていましたから、初戦に勝てば、残り2試合を優位に戦える、と思っていました。だから、ナイジェリア戦にかける思いは、かなり強かったです」

 ナイジェリアは、さまざまなトラブルによってリオ入りが遅れ、現地に入ったのは、試合の3日前だった。長距離移動による疲労を抱え、現地の気候にも慣れていない。そんな相手が初戦となって、「日本はラッキー」と思われていた。だが、アフリカの雄はそうしたアクシデントを差し引いても強かった。

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