猶本光を突き動かすドイツで生まれた感情。来年の五輪までの目標は (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ところで本来であれば、今頃はオリンピックが開催されている時期だった。猶本はそこに照準を合わせ、帰国を決めて浦和に復帰を果たしたが、それでも今の状況を前向きに捉えているという。

「延期になったのは仕方ないです。全然プラスに捉えてますよ!」

 ここへ来てさらなる成長を見せている猶本は、この1年で何を積み上げるのか。

「代表に行くと、たぶんボランチの位置に入ると思うので、今のポジションとはちょっと違うと思うんです。でもゴール前でさらに仕事をできるイメージが持てるように、今はゴール前のプレーを伸ばしていきたいです」

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 猶本が試合ごとにトップ下の感覚を磨いていけば、なでしこジャパンでも必然的に猶本を活かす戦い方が見えてくるかもしれない。コロナ禍という状況でどう向上していけるのか。選手たちは真の意味で試されている。チャンスがあるからこそ、まずは目の前の戦いに集中することが大事だ。

「狙うのはもちろんリーグ優勝です。皇后杯もあるけど、やっぱりリーグタイトルを狙いたい。みんなでリーグタイトルを獲りたいです」

 スタートしたばかりの今季のなでしこリーグで、浦和は課題を見つけながら勝利を重ねている。森体勢で臨む2年目のシーズンはそれぞれのポジションで昨年の課題を今まさに乗り越えようとしている選手が多い。そこに絶賛成長中の猶本が加わったことで、浦和はチームとしての新境地を切り拓こうとしている。目標はただひとつ。この融合の先にはきっと悲願達成のゴールがあるはずだ。

プロフィール
猶本光(なおもと・ひかる)
1994年3月3日生まれ。福岡県出身。
2012年に浦和レッズレディース所属し、2018年にはドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクに移籍。今シーズンより再び浦和レッズレディースに復帰を果たしている。なでしこジャパンでは2014年に召集され、現在も東京五輪出場を目指している。

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