底が知れん! 冨安健洋はレベルが上がるほど潜在能力が引き出される (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 アビスパ福岡U-18から高校卒業を待たずにトップチームへ昇格した冨安は、福岡がJ1にいた2016年シーズンを除き、J2でしかプレーしていない。その2016年にしても、まだ高3だった冨安はJ1で10試合に出場しただけだ。

 2017年シーズンはJ1クラブに引き抜かれることもなく、J2に降格した福岡でプレー。そして2018年、Jリーグでは無名に近い存在のまま、ベルギーのシント・トロイデンへ移籍している。

 しかし、ここからの階段の上がり方は早かった。

 シント・トロイデン移籍後、半年間はほとんど出番がなかったが、新たに2018-2019シーズンが始まると、主力の座をがっちりとキープ。シーズン終了後の昨夏には、イタリア・セリエAの名門、ボローニャへの移籍を勝ち取っている。

 こうして振り返ってみると、U-20ワールドカップでの経験にしても、シント・トロイデンへの移籍にしても、彼にとっては覚醒のきっかけに値する十分な出来事だったと言えるのだろう。

 だがしかし、冨安が21歳にして現在の地位――A代表の主力センターバック――を築くに至ったという意味では、覚醒の瞬間はまだ他にあるのではないだろうか。それが、2019年1月にUAEで開かれた、アジアカップである。

 冨安は2018年9月、森保一監督就任とともにA代表に初選出されると、シント・トロイデンでの活躍もあって、ほどなく主力に定着。アジアカップでは、キャプテンの吉田麻也とともにセンターバックを務めた。

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