2020.06.06

「自分たちのサッカー」を披露。
彼らは「史上最強」の日本代表になった

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Kaz Photography/Getty Images

 単に、ボール保持率で優勢だった、というのではない。縦パスを打ち込んで中央突破。そこで相手が食いついてくれば、サイド攻撃。じれったい横パスは少なく、ボールは気持ちよく韓国ゴールへ向かって進んでいった。

 先制点が生まれたのは35分。FW李忠成の絶妙な落としをMF香川真司が冷静にゴールへ流し込んだものだったが、試合の流れを考えれば、遅すぎるくらいの得点だった。

 過去の日韓戦を振り返れば、前半はおとなしかった韓国がハーフタイムを境に目を覚ます。そんな展開も珍しくはない。だが、この試合は違った。

 後半、さらにギアアップした日本は韓国ゴールに襲い掛かり、52、54分に追加点。1トップの李が深さを作り、その1列下で香川やMF本田圭佑がボールを受けて前を向く。そんな縦のコンビネーションも抜群だった。

「自分たちのサッカーはこれだ、というのを見せられた」(FW岡崎慎司)

「韓国よりも、チームとして戦えた。個の能力でも上回っていたし、周りも使うことができていた」(MF長谷部誠)

 ザックは就任以来、3-4-3、4-2-3-1とシステムこそ使い分けながらも、攻撃時は常に縦方向へのスピードアップを意識させていた。それが痛快なまでに形となったのが、この韓国戦だった。

 それからおよそ1カ月後に始まった3次予選では、それなりに苦労した日本代表だったが、韓国戦で見られたスタイルを徐々に確立。翌年の最終予選では第1戦でオマーンに3-0、第2戦でヨルダンに6-0と圧勝すると、第3戦ではオーストラリアを、アウェーゲームにもかかわらず圧倒した。不可解な判定でPKを取られ、結果は1-1の引き分けだったが、内容的にはアジアのライバルを寄せつけなかった。