2020.06.05

遠藤保仁が試合の流れを変える進言。
南アW杯デンマーク戦にしびれた

  • 飯尾篤史●取材・文 text by Iio Atsushi
  • photo by AFLO


 そればかりか、”接近・展開・連続”のコンセプトも、コンビネーションを重視した攻撃も、跡形もなく消えてしまった。

 取り組んできたサッカーをぶつけてみないことには、世界との差は測れないのではないか。

 守備専心のスタイルで勝つことが、果たして日本サッカーの未来につながるのだろうか。

 そんな疑念があったから、カメルーン戦の勝利を手放しで称えるわけにはいかなかった。

 だが、勝つために変化を受け入れ、重圧と戦う選手たちの姿や、川口能活、楢崎、中村俊輔、稲本潤一といったベテランがベンチから懸命にチームを支える様子を見るうちに、スタイル云々はどうでもいいと思えるようになっていた。

 さらに30分、今度はゴール正面やや右でFKを獲得する。遠藤の蹴ったボールが壁を越え、緩やかな弧を描いてデンマークゴール右隅に向かうと、「蹴った瞬間に入ったと思った」という遠藤は、ネットが揺れる前にベンチ方向に走り始めていた。

 日本の素晴らしい試合運びに、ブブゼラの音は一層高まった。