なぜ今、日本女子サッカーの新プロリーグ創設が決まったのか? (3ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 その結果、プロリーグを国内トップリーグとして、およそ30年国内リーグの頂点で踏ん張ってきた、なでしこリーグもそのまま残すという形に落ち着いた。だが、ここでひとつの懸念が生じる。

「分裂ではありませんよ(笑)」――両リーグの関係性に関するその懸念を笑い飛ばしてくれたのは、日本サッカー協会女子委員長の今井純子氏だ。今井氏は、女子プロサッカーリーグ設立準備室の主要メンバーでもある。

日本女子サッカーのプロ化について、日本サッカー協会女子委員長の今井純子氏が語ってくれた日本女子サッカーのプロ化について、日本サッカー協会女子委員長の今井純子氏が語ってくれた「アマチュアリーグとプロリーグの違いにすぎません。JリーグとJFLの関係性のようなものです。将来的には、なでしこリーグとプロリーグはつなげていきたいと考えています」(今井氏)。

 とはいえ、クリアしなければならない問題は山積している。最大の壁はなんといっても運営資金だ。イングランド、フランス、ドイツなどのように、世界に名をとどろかせる男子ビッグチームが潤沢な資金をつぎ込むわけでもなく、中東のように石油王もいないこの日本では、資金確保が一番のネックだ。

「これまでと同じ運営では、集客増大に結びつきません。プロ化に際しては、選手の環境面はもちろん、エンターテインメントとしてもしっかりと確立していかなければなりません。そのために、運営面の主要ポジションに専任者を置くことも検討しています。当然、さらに多くの運営資金が必要になります。そこで、JFAがWEリーグに5年間で、約10億円の投資をすることが決まりました。女子サッカー発展のため、草の根レベルの取り組み強化も並行して行なっていきます」(今井氏)

 女子リーグのプロ化が実現した最大の要因は、JFAからの投資によるところが大きい。JFAが投資を継続する5年の期間中は、少なくとも運営が保証される。また、最初の4年間は参入チームの降格はなく、リーグ運営を安定させながら徐々に登録チームを増やしていく予定だ。この期間中に、いかにプロリーグとして各チームの自立運営を安定させるか。それが当面の課題となるだろう。

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