2020.05.27
井原が明かす韓国戦の豪快ミドルと
悪夢のPK、ファルカンのスピード解任

- 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
- 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu
あそこまでのミドルを決めたことはなかったんで、自分でもびっくりしましたし、うれしかったです。あれが勝利につながるゴールだったらよかったんですけど、同点になっただけ。もう1点取って勝たないといけないので、すぐに気持ちを切り替えました」
井原の同点ゴールで、試合の流れは日本に傾きかけていた。
「もうロスタイム(アディショナルタイム)に入るので、延長戦も視野に入れていました。延長戦の30分で決めればいいと思っていたので、気持ち的には余裕があったと思います」
だが、サッカーの神様は日本に優しくはなかった。
ロスタイム、韓国の左からのクロスに対して、ペナルティーエリア内で井原と黄善洪が倒錯した。井原にファウルの笛が吹かれ、韓国にPKが与えられたのである。名塚はレフリーに猛抗議にしてイエローをもらうが、判定はもちろん覆らなかった。
「今だったら、VARでどうかなって思いますけどね。そのクロスは完全にGKがキャッチするボールだったし、僕は黄善洪に触れていなかった。普通は取らないファウルだけど、取られた。しかも、レフリーがグループリーグで戦ったUAEの人で、そんな人が決勝トーナメントで日本の試合の笛を吹くのかっていう疑問もありましたけど、笛を吹かれたら、もう受け入れるしかない。自分の同点ゴールも束の間、PKを取られて、最後ドン底に突き落とされました」
2-3と逆転されても、井原はファイティングポーズを取り続けた。ドーハの経験によって、笛が鳴って終わりを告げるまで何が起こるかわからないと思っていたからだ。だがその1分後、無情にも試合終了の笛が吹かれた。ドーハに続き、またしても「悪夢のロスタイム」に日本は屈することになったのである。