17年前を例に考える。東京五輪延期の場合、代表メンバーへの影響は? (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Carl Court/Getty Images

 ただ、物理的な流行範囲で言えば、SARSのそれは、現在の新型コロナウイルスに比べ、かなり限定的だったのは間違いない。事実、日本国内ではSARSの感染例がなく、また、フランスでは予定どおり、6月にコンフェデレーションズカップ(当時は2年一度開催)が開かれ、日本も出場している。

 そのため、SARSは当然、感染拡大が収まるのも早かった。延期となっていた前述の東アジア選手権は、同年12月に日本で開催。アテネ五輪アジア最終予選も、翌年3月にUAEと日本で問題なく行なわれている。

 それに比べ、新型コロナウイルスの感染は現在、全世界に広がっており、収束の気配が見えない。仮に東京五輪が延期になるとして、それが1年先なのか、2年先なのかもわからないのだから、東京五輪を目指す選手にとっては、17年前のワールドユースや、アテネ五輪アジア最終予選のとき以上に、先の読めない日々を過ごすことになるに違いない。

 とりわけ、男子サッカーに関して言えば、五輪の出場選手資格は(24歳以上の選手を3名まで登録できるオーバーエイジ枠はあるにしても)、基本的に23歳以下と定められている。つまり、開催が来年以降に延期された場合、その扱いによっては、自分の実力とは無関係に出場資格を失う選手が出てくる可能性もあるだけに、事態は余計に複雑だ。

 とはいえ、ウイルスの世界的な広がりをすぐに止めることなど誰にもできないし、いつ収まるのかもわからない。冷たい言い方かもしれないが、自分たちの手の及ばないことに頭を悩ませていても仕方がないのかもしれない。

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