17年前を例に考える。東京五輪延期の場合、
代表メンバーへの影響は?

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Carl Court/Getty Images

 17年前の出来事を振り返ってみると、不安の対象となるのは、一部地域だけだった。

 当時、A代表が3月下旬に予定していた海外遠征を中止にするという出来事もあったが、それは行き先がアメリカだったからだ。つまり、イラク攻撃を始めた当事国への遠征だったため、万が一に備えて中止されたのである。

 ちなみに、同じく3月下旬に予定されていた、MLB公式戦(アスレチックスvsマリナーズ)の日本開催も、このとき中止になっている。

 しかしながら、これらの中止には、アメリカ絡みのイベントだったことが大きく関わっている。言い換えれば、日本国内では、危険に対する不安が漠然と漂っていたとはいえ、そこまで大きな影響は受けていない。実際、Jリーグは通常どおりに行なわれていたし、A代表のアメリカ遠征が中止になったとはいえ、アメリカで対戦するはずだったウルグアイ代表が来日し、日本で親善試合を行なっている。

 同じ2003年の話で言えば、むしろ日本により大きな影響を与えたのは、中国や香港を中心にアジアで感染が拡大したSARSのほうだろう。

 まず、5、6月に行なわれる予定だった東アジア選手権が、中国と香港が出場することを理由に開催延期。6月に行なわれたキリンカップは、当初出場予定だったポルトガルが感染の懸念から辞退。代わって招聘したナイジェリアも、来日をキャンセルするという事態に発展している(最終的に、代替の代替でパラグアイが出場した)。

 また、中国をはじめ、アジア各国でリーグ戦や、AFC主催試合のスケジュールが次々に変更されるなか、この年の8~10月に行なわれるはずだったアテネ五輪アジア最終予選も延期されている。

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