なでしこジャパン、パスミスでまた負けた。つなぐだけでいいのか? (5ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 ラスト10分は体力的にもキツかった。相手はフレッシュな主力。スコアレスの状況で、残り時間をチームとしてどう戦うのかも曖昧だった。

「リスク管理をしながら、やり続けたい」と、土光は言葉を選びながらも、試合前に2人で決意したビルドアップの形を続けると言い切った。それが彼女たちの特長であり、それを失わずに、改善していく道はあるはずだ。ベストメンバーではないイングランドが相手であったとしても、土光と三宅が示した守備は一定の効果を生んでいた。

 最終ラインからのビルドアップに着手したワールドカップ後から約半年。相手も当然分析をしてくる。日本の攻撃の起点を狙ってプレッシャーをかけてきていることは明らかだ。そして、こうした圧力に負ければ即失点につながることは今大会で嫌というほど思い知らされた。

 熊谷紗希(オリンピック・リヨン)や、南萌華(浦和レッズレディース)しかり、CBは一様に同じようなパスミスでこれまでもピンチを招いている。この事実は重い。

 このまま最終ラインからのビルドアップを軸にしていくのであれば、ボランチを含めたリスク管理を徹底しない限り、今後も同様の失点は繰り返されるだろう。これは個ではなくチームとして向き合うべき問題だ。

 今大会、残るはアメリカ戦。最後になでしこの意地を見たい。

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