大野忍は、なぜ通算200ゴールまであと18なのに引退を決意したのか? (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 このノジマで、大野はその後の道筋を意識せざるを得ない経験をすることになる。

「ウチね、能力のある選手、見つけちゃったんですよ」と誇らしげに大野は語りはじめた。彼女が見つけた逸材は同じチームにいた國武愛実。161cmのDFだ。

「すぐに、この子うまい!って思いました」と、ポジションが近いこともあり、ビルドアップのいろはから、ポジショニング、予測の重要性を徹底的に教え込んだ。その教えが功を奏したのか、2018年に國武は初めてなでしこジャパンに選出される。

「めちゃくちゃうれしかった! だけど、本人があまりそういう感じじゃなくて......(苦笑)」

 初めてのなでしこジャパンの活動で國武は緊張も手伝い、本来のプレーができず、完全に周りの雰囲気にのまれていた。

「彼女に足りないのは自信!彼女のアピールポイントはスピードなんです。昨シーズンは、センターバックとして、ほとんどのカバーリングを成功させていたんじゃないかな」(大野)

 今シーズンからはベガルタ仙台レディースへ移籍したが、それも彼女のプレーが目に留まってのオファーである。

「自分が伝えたことで、彼女がどんどん成長していくのを見て、面白い!って思いました。國武の成長が指導者っていう道を考えさせたのかもしれないです」(大野)

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