柱谷哲二が語るドーハの悲劇。
イラク戦で投入してほしかった選手の名は

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

「チェンジと言われると思ってオフトの顔を見ていると、ぜんぜんこっちを見ないんですよ。目を合わせないまま結局後半もゴーになり、出ることになった。延長までやってカズ(三浦知良)がゴールを決めて勝だったんだけど、ゼロに抑えたことで自分はできる、これならやれるなっていう自信がついた」

 ただ、柱谷の病気は完治したわけではなく、37度2分の微熱がつづき、体の節々に痛みを感じた。アメリカW杯最終予選のカタール・ドーハに入ると、暑さの影響で熱が下がらず、それまで肝臓に負担がかかると飲用しなかった薬を飲み、試合に臨んだ。

 アメリカW杯最終予選のサウジアラビア戦は0-0のドローに終わった。続くイラン戦、日本は1-2で敗れて早くも土壇場に追いやられた。

「サウジはいちばん力があるチームなので、ドローはまあしょうがないという感じだった。でも、次のイランに負けたのは誤算だった。ロッカーでラモス(瑠偉)が『向こうがユニフォームを泥だらけにして必死に戦っているのに、俺たちは誰のユニフォームが汚れている? これで勝てるわけねぇーだろ』って怒っていた。そのとおりだなって思ったね」

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