柱谷哲二の最重要ミッションは「監督と選手の仲を取り持つこと」だった (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

 チーム強化は、「アイコンタクト」「スモールフィールド」「トライアングル」といった基本を軸に、練習ではそれらを高い精度で繰り返すことを要求した。「ピクチャー」とオフトがよく使用する言葉があるように、プレーの画をお互いが共有し、それができないとすぐに指笛が飛び、練習を中断した。

「みんな、基本はわかっているけど、いざやってみるとできないんですよ。ちゃんと教わってきていないし、そういうトレーニングもしてきていない。日本の指導者の場合、練習はある程度流してシンクロさせていくけど、オフトは1回、1回止めてダメなところを修正していく。練習が始まると10秒ぐらいで指笛が吹かれて止まる。今まで自由にやってきた選手はすごいストレスだったと思う。ラモスは『オレは犬じゃねーんだ』ってブチ切れていましたから」

 オフトは選手を管理し、個々に明確なタスクを与え、チーム戦術を守りながらプレーすることを要求した。だが、ラモスを始め多くの選手がそのやり方に不満を覚え、オフトのサッカーに対して疑心暗鬼を募らせた。

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