信じがたい惨敗を喫したU-23日本代表に、微かに見えたふたつの「光」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 アジアU-23選手権グループリーグ最終戦で、日本はカタールと1-1で引き分けた。日本のグループリーグ3試合の成績は、1分け2敗の勝ち点1。3連敗こそ免れたものの、1勝も挙げることができず、B組最下位に終わった。

 これが、ワールドカップをはじめとする世界大会ならともかく、アジアレベルの大会での成績なのだから、にわかには信じがたい惨敗である。

「2連敗したあと、選手たちはメンタル的に難しい状況のなか、2日間いいトレーニングをしてくれて、頭も体も重かったと思うが、(気持ちを)奮い立たせて、お互い励まし合って、この試合に準備してくれた」

 試合後、森保一監督はそう語り、選手たちをねぎらった。たしかに、前の2試合に比べれば、試合中に選手同士で声をかけ合う姿も多く見られたし、チームがひとつになって現状を変えようとする必死さは、多少なりともうかがえた。

 だが、結果は引き分け。グループリーグ最終戦でも勝つことはできなかった。森保監督は「選手たちはプライドや意地を、最後に出そうとした」とも語ったが、それが十分だったとは言い難い。

 最後のカタール戦は、ある意味で今大会の日本を象徴するような試合だった。すなわち、内容的に酷い試合をしているわけではなくとも、チーム全体の歯車が何となくかみ合わず、そのうちに勝利の女神にまでそっぽを向かれてしまう。そんな試合である。

 実質、5バック+3ボランチで守備を固めるカタールを相手に、日本は効果的な縦パスを入れることができなかった。とくに前半は、相手の守備ブロックの外でパスを回すことが多かった。ボランチのMF田中駿汰(大阪体育大→コンサドーレ札幌)が語る。

「ボールは持てたが、"持たされている感"が前半からあった。無理に(縦パスを)通しても、はじかれるだけだった。真ん中(の守備)を固められたのもあるけど、もっと試合のなかで、自分たちで修正していかなきゃいけない部分があった」

 その結果、日本の攻撃はその大部分を、右サイドに開くMF相馬勇紀(名古屋グランパス)のドリブルとクロスに頼ることになった。

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