U‐23代表で評価を上げたのは誰か。
東京五輪に残れる選手を考えた

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 1分2敗。アジアU‐23選手権のグループリーグでまさかの最下位に終わった日本。森保一監督の責任問題のみならず、同監督に兼任監督という二足のわらじを履かせた田嶋幸三会長の任命責任、さらには関塚隆技術委員長のサポート力も問われる事態になった。

 その一方で、選手の責任を問う声も広がっている。その精神的な甘さや連係の悪さを指摘する声だ。海外組を招集することができれば、こうした事態には陥らなかったというのは、結果的に首脳陣を庇うことにつながる意見でもある。

3試合に出場し、再三、切れ味のいいプレーを見せた相馬勇紀3試合に出場し、再三、切れ味のいいプレーを見せた相馬勇紀 サッカーという競技の本質に照らしたとき、どちらに説得力を感じるか。答えは明らかだと思うが、それはともかく、今回招集された選手に失格の烙印を大量に押せば、U‐23日本代表はチームとして成立しなくなるも事実なのだ。

 一般的に実力上位と目される海外組は以下の8名である。

 久保建英(マジョルカ)、堂安律(PSV)、三好康児(アントワープ)、前田大然(マリティモ)、安部裕葵(バルセロナB)、中山雄太(ズウォレ)、板倉滉(フローニンゲン)、冨安健洋(ボローニャ)。個人的にはこれにUー22コロンビア代表戦で招集された菅原由勢(AZ)も加えたくなるが、仮にこの8人すべての招集が実現し、23歳以上のオーバーエイジ枠を3人埋めることができたとしても合わせて11人だ。五輪本大会の登録メンバーは18人なので、アジアU‐23選手権出場組の23人の中から、7人がメンバー入りしたとしても不思議はないのである。

 さらに言えば今回、海外組のすべてを招集できる可能性は低い。前回リオデジャネイロ五輪当時より、所属クラブの締め付けは厳しくなっている。W杯予選に臨もうとするA代表を兼ねた選手はなおさらだ。半分程度しか呼べない可能性は大いにある。さらに上に記した8人のうち、久保、堂安、三好、前田のアタッカー4人は左利きだ。バランスを考えると、4人すべて招集することには無理を感じる。

 招集できる海外組の人数がもし4人ならば、今回のメンバーから11人招集される可能性が生まれる。GK2人を国内組から出せば、フィールドプレーヤーに限れば最少で5人、最大で9人だ。今回のフィールドプレーヤー20人中、およそ3分の1前後の選手に代表メンバーに食い込むチャンスが残されていることになる。

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