2020.01.14

U-23代表齊藤未月の反省があぶり出す「きれいすぎるチーム」の問題

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 初戦のサウジアラビア戦では、中盤から強い縦パスを入れて、2列目の二人が受けて振り向いたところから、攻撃が加速していった。ただその反面、スキルフルな司令塔タイプの二人の中盤(田中碧と田中駿汰)は、相手にボールが渡った時の守備に不安をのぞかせた。実際に何度も敵の突破を許し、鋭い逆襲を受けたシーンは多かった。

 この日のシリア戦では、中央の二人を齊藤と松本泰志に変更。プレーメーカーの後者と組むことで、守備に長じる前者の特長ははっきりと表われていた。この代表で久しぶりの先発だったこともあり、序盤はやや硬かった。だが徐々に慣れていくと、166センチの小柄な体躯にエネルギーを漲らせ、相手を激しく追い回し、逆襲の芽をつぶしていく。

 9分にPKで先制されたあと、日本が主導権を握り続けられたのは、相手ボールになったときに背番号6が何度もそれを回収していたことが大きい。データによると、ボール奪取の回数は両チームのフィールドプレーヤーを通じて、ダントツの17だ。

 時間の経過とともに、そうした責任感のあるプレーによって周囲の信頼を得ていくと、ボールを預けられる回数も増えていった。その証拠に、タッチ数もチームトップ。マイボールはシンプルに展開したり、思い切り良いミドルを打ったり、裏へのフィードを選択したり。

 ただしそうした積極的なプレーは、このチームでは「浮いたプレー」に見られがちだという。試合後に食野亮太郎も話していたように、この代表は「きれいにやろうとしすぎる」ところがあるのだ。

 おそらくコンビネーションや崩しのアイデアは、ほぼ選手の創造力に任されているが(時に縦パスからワンタッチの連係などは見られるが、それはタイや他のチームにもあるベーシックなものだ)、大枠では”ジャパンズウェイ”という、ひどく曖昧なポゼッション志向があるだけに見える。

「たとえば誰かがシンプルに裏に出して、それがつながらなかったとしても、その選択を尊重して次のプレーに切り替えるべきなのに、(出した選手が)浮いてしまうような雰囲気があって」と齊藤は続ける。「もちろん、オレが(上田)綺世に出して、ミスをしているのがいけないんですけど」と彼の言葉は熱を帯びはじめ、自称が「僕」から「オレ」に変わっていった。