ベレーザが4冠達成。皇后杯決勝の試合内容に強さの根源を見た! (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 そんな宮川の別の一面を見出そうと、永田雅人監督が連続でCBに起用するようになったのは、11月の女子クラブ選手権から。皇后杯2回戦後に韓国入りし、中一日で3試合をこなす。帰国後に3回戦を迎え、そしてそのまま代表活動へ――。怒涛のスケジュールの中、各選手のコンディションを見ながら、やりくりしなければならない状況で、永田監督は宮川にCBを任せた。最初は見様見真似で何とかこなしていた宮川だったが、皇后杯決勝での彼女は、完全にCBとしての風格を漂わせるまでになっていた。

「最初はCBって言われても自信はなかったんです。でもSBで出ていても前半15分位で『(CBと)チェンジ!』とか言われて......(笑)。それでも皇后杯の3回戦あたりから自分でもCBらしくなってきたかなと思いました」

 準決勝では永田監督の旧友でもある菅澤大我監督が率いる、ちふれASエルフェン埼玉の好戦を前に延長戦にまでもつれ込んだ。

「もうただただ苦しいだけだった......」と、振り返る宮川。決勝でも最初の先制から得点が得られず、さぞ苦しんだのかと思いきや、意外にも「楽しかった」と笑顔を見せた。

「今日の立ち上がりは、永田さんになってから一番いい感じでみんなハマっていました。後ろから見ていて、前線の選手がこんなにやっているんだから自分もやらないと!って思わされました」(宮川)

 たしかに、苦しい時間帯になってもピッチ内でベレーザの選手たちは互いに声をかけ合い、スペースを埋め、穴があれば的確に突く。とくに攻守の切り替えは、今シーズンでも一番の速さを見せていた。

 リーグ得点王となった田中、多彩な攻撃センスを見せる長谷川唯、随一のキック力を誇る籾木、切れ味鋭いドリブルからのシュートが魅力の小林里歌子など、パスを駆使したポゼッションサッカーでは攻撃陣に目が行きがちだが、その起点となるのはGK山下杏也加を含む最終ラインだ。

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