コロンビア戦の反省を生かす。ジャマイカ戦は点差以上の価値ある内容 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

「前線3枚の動きがよかったので、相手がつられた。シャドーがいい位置に立ってタメてくれたら、ボランチも出やすい」

 まずは日本の2シャドーが、相手DFラインとMFラインのスペースに入ってボールを受けることで、相手DFを食いつかせる。相手のCBが食いつけば、中央に空いたスペースへボランチが、SBが食いつけば、サイドに空いたスペースへアウトサイドMFが、次々に飛び込んだ。サイドを使うにしても、ニアゾーンを使うにしても、相手ゴールライン近くまで深くえぐり、チャンスを作り出すシーンは多かった。

 日本は大量リードを奪ってもなお、ピッチ上の誰ひとり足を止めることなく、こうした質の高い攻撃を緩みなく続けた。そこに9点を取ったこと以上の価値がある。

 当然、攻守に厚みが生まれれば、それぞれが互いの厚みを増幅させる。松本が「見てもらってもわかるように、攻守の切り替えがすごく早かった」と言えば、岩田もまた、「攻撃の厚みが出る分、守備は楽になる。切り替えを早くして、相手陣内でゲームを進められた」と胸を張る。どれほど力の差があったとしても、相手にまともな攻撃機会を与えず、ほぼ完璧に敵陣に閉じ込めることなど、簡単にできるものではない。

 11月の惨敗と12月の快勝。両方の試合でキャプテンを務めた中山が、笑顔で語る。

「試合前のロッカールームや、アップのときから(コロンビア戦とはチームの)雰囲気が変わっていると思った。森保さんからの発信がありつつ、選手が行動を起こし、コミュニケーションをとったことが結果につながった」

 内容、結果ともに見るべきところがなかったコロンビア戦から1カ月ちょっと。あまりの出来の違いに、これができるならコロンビア戦でもやってくれよとも言いたくなるが、不甲斐ない試合内容が(コロンビア戦に出ていなかった選手も含めて)チーム全体に危機感をもたらし、ひいてはチームの強化につながったということだろう。

 ジャマイカの出来の悪さをいくらかは割り引いて考える必要があるとはいえ、東京五輪での金メダル獲得を目論むチームは、そのプレ・イヤーをひとまずいい形で締めくくったと言っていいのではないだろうか。

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