スペインの知将が指摘。
森保ジャパンの3バックが改善すべきポイント

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 日本はコンビネーションを高めることで、持ち前の技術を生かし、打開したいところだった。3-4-2-1は、それが可能なシステムとしての特性もある。しかし、ビルドアップのところから後手に回ってしまい、序盤から畠中槙之輔(横浜F・マリノス)がボールを失うなど、混乱した。

 問題は、3バックの立ち位置、動き方にあった。3バックが一列に近い形になってしまい、必然的に相手のプレスの餌食になっていた。何より、奪われた瞬間、裏を狙われ、カバーも間に合わない。3バックはお互いの距離が近すぎても遠すぎてもダメで、常に、それぞれが補完し合うべきなのだ。

 失点したシーンは、せっかく奪ったボールを右アウトサイドの橋岡大樹(浦和レッズ)が自陣で取り返され、完全に裏返しになる失態で、相手に差し込まれてラインを下げられ、マイナスに折り返したボールをミドルで打ち込まれた。戦術だけでなく、技術的な拙さが出たと言える」

 エチャリは鋭い指摘をしたあと、続けてシステムの利便性を説いている。

「3-4-2-1のシステム自体は、中央に人を集めて優位を保ち、ゲームを作り出せる。それぞれのラインが連係することで、よりバリエーションの多い攻撃になる。なにより両サイドに起点を作りながら、横に幅を作って、縦に深みを出せるはずなのだ。

 私は個人的に推奨するシステムである。

 ただ、日本はすでに指摘したように、多くのミスを出した。たとえば3バックをサポートするべき井手口陽介(ガンバ大阪)はパスミスを多発し、危険なボールの取られ方があった。これでは戦術的な破綻は免れない。

 選手の適性に関しても一考の余地はある。

 たとえば左のアウトサイドに入った遠藤渓太(横浜FM)は、右サイドの選手ではないのか。あるいはインサイドハーフやシャドーのような選手に見える。左サイドでは窮屈そうで、危ういボールの失い方もあった」

 国内では「日本の戦果はほとんどなかった」と酷評されるが、エチャリはやり方自体を否定していない。そして成果を挙げた選手についても言及した。

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