日韓戦で3バックのメリット見えず。選手は四苦八苦、戸惑っていた (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 森保監督は、就任以来さかんに「連係連動」という言葉で攻撃のイメージを表現するが、田中碧が「探り探りの部分はある」と吐露するように、チーム全体として、狙いが共有されている様子はほとんど感じられなかった。

 せっかくいい縦パスが入っても、次のパスコースがなく、そこで詰まってボールを失う。ボールを失ってカウンターを受ける怖さがあるから、周りの選手もパスコースを作るべく適切なポジションを取ることができない。そんな悪循環がピッチ上で起きているかのようだった。

 確かに、後半途中からMF大島僚太(川崎フロンターレ)が投入されたことで、ボールを動かすリズムがいくらかはよくなった。だが、ゴールに迫る最終局面では「クロスだけになっていた」と田中碧。中盤が高い位置まで押し上げ、敵陣でボールを動かせるようにはなったが、相手に決定打を与えるまでには至らなかった。

韓国相手に、日本の攻撃はほとんど機能していなかった韓国相手に、日本の攻撃はほとんど機能していなかった そして最後に、これが最も気になった点なのだが、日本が(森保監督が、と言い換えてもいい)、なぜ3バックのフォーメーションを採用するのか。その意図が見えなかったことである。

 もちろん、頭ごなしに3バックがダメ、と言うつもりはない。だが、海外組はもちろん、国内組の所属クラブにおいても、3バックが主流とは言えないなか、あえてそれを採用するからには、それなりのメリットを示されなければならない。ところが、この試合を見る限り、むしろデメリットのほうが強く出てしまっているように見える。

 つまり、この試合で言えば、3-4-2-1(3列表記なら3-4-3)の日本と、4-3-3の韓国との間で起こるフォーメーションのミスマッチを、アドバンテージとして生かしていたのは、韓国のほうだった、ということだ。

 田中碧は、「オリンピックチーム(U-22代表)でも3バックでやっているが、3トップで張ってくる相手に対して(実質5バックになり)、少し後手を踏むのは仕方がない」としつつも、こう続ける。

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