韓国より「強度で劣る」のには理由がある。森保Jの本質的な問題 (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 右の橋岡、後半交代で入った相馬勇紀(鹿島)は終盤、頑張って大外から勝負を仕掛け、何本かクロスを放り込むことに成功していた。しかし、世界でベスト16を狙おうとしている代表チームに、大外からクロスを蹴り込むようなサッカーをしているチームはない。チャンピオンズリーグでも同様だ。レベルの低いサッカーを象徴する前時代的プレーと言っても過言ではない。Jリーグでさえ、もはやこんなサッカーを目にする機会はなかなかない。周囲とのコンビネーションプレーで崩そうとするのが常識だ。2トップにロビン・シモビッチ(大宮アルディージャ)級の長身が並んでいるならいざ知らず。

 後半、2シャドーの一角、鈴木武蔵(札幌)と交代で投入された横浜FMの右ウイング仲川輝人も、香港戦同様、まったく輝けなかった。森保監督は仲川を3バックも4バックも両方できる選手だと認識しているのだろうか。橋岡の前に右ウイングとして貼らせたほうが、100倍力を発揮するとは思わないのだろうか。

 今回、招集したフィールドプレーヤー20人のなかで、森保的3バックを敷いているチームに所属している選手は何人いるだろうか。3分の1程度にすぎない。Jリーグの1位から4位までは、オーソドックスな4バックのチームだ。それらのチームに所属する選手にとって、森保的3バックは特殊な戦法に映るはずだ。

 そんなメンバーが多数を占める中で、チームをリードしていかなければならないのは、まずはキャプテンの佐々木翔(サンフレッチェ広島)ということになる。しかし、彼は自分のプレーに精一杯だった。いろいろな意味で主将は荷が重すぎる。

 ガンバ大阪のサッカー(3-3-2-2的)が森保式にどこまで近いかは微妙な問題だが、所属する中盤の井手口陽介も、活躍できなかった選手のひとりになる。2シャドーを務めた鈴木、森島しかり。普段からそのポジションでプレーしているにもかかわらず、チームを牽引することができなかった。

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