冨安健洋が日本代表にとって貴重な戦力である根拠を福田正博が熱弁! (2ページ目)

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 現代サッカーの強豪クラブは、試合中にフォーメーションや選手の並びやポジションを変える。たとえば、ドイツ・ブンデスリーガのライプツィヒが好例だろう。ライプツィヒは頻繁にシステム変更をするので選手が混乱しているという議論もあり、一部の選手からはユリアン・ナーゲルスマン監督に対する不満の声もあるという。「テレビゲームではないし、選手は機械じゃない」と。たしかに、あまりにもコロコロと布陣や並びを変えるのは混乱を招く部分もあるかもしれないが、対戦相手がこちらの戦術に対応をしてきたら、それに素早く対応していく重要性が増していることも事実だろう。

 とくに日本代表の場合、W杯という舞台では強者ではなくむしろ弱者なので、戦術は臨機応変に変えられたほうがいい。つまり、戦い方の引き出しを増やすことで相手に揺さぶりをかけて、先手を取って仕掛けていく必要がある。
 
 多くの選手が戦い方のバリエーションを増やし、複数ポジションをこなせるようになることで、選手交代をしないで布陣を変更し、戦い方を変えていくことができれば、ゲームの流れを変えていくこともできる。そうした戦い方は、日本に向いていると私は思っているし、そういうサッカーを構築していかなければ、世界の強豪国には追いついていけないのではないか。

 その意味でも、複数のポジションをこなせる冨安が、日本のキープレーヤーと言える。冨安は、ボローニャで右サイドバックを任されても、まったく問題なく質の高いプレーができている。こうなってくると、酒井宏樹(マルセイユ)とのポジション争いにもなってくるかもしれない。

 センターバックには、吉田麻也(サウサンプトン)はもちろん、昌子源(トゥールーズ)のほか、植田直通(サークル・ブルッヘ)、三浦弦太(ガンバ大阪)、畠中慎之輔(横浜F・マリノス)らも実力を示している。そのため、冨安がセンターバックではなく右サイドバックで出場する可能性は十分ある。

 酒井に問題があるのではく、これだけ長い間、代表とクラブでコンディションをキープし続けることは相当な苦労があるはずなので、ローテーションという観点から冨安の右サイドバックは現実的に考えてもいいだろう。もちろん、酒井の実績は申し分ない。それでも、日本代表の将来を考えた時に、来年30歳になる酒井がより長くプレーできるためにも、若手の突き上げがさらに必要とも言える。

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