森保ジャパン、E-1で香港に完勝も物足りないデータが複数あり (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 しかし採用システムは、コパ・アメリカでは3試合ともA代表のメインシステムである4-2-3-1だったが、この香港戦では初戦の中国戦に続いて3-4-2-1。U-22代表を兼任する森保監督が、今大会でどちらのシステムを採用するのかは注目点のひとつだったが、蓋を開けてみれば、2試合連続でU-22代表のメインシステムで戦うこととなった。

 そして香港戦のスタメン11人には、東京五輪世代の選手が9人も名を連ねた。GKは大迫敬介、DFは渡辺剛、田中駿汰、古賀太陽、MFに相馬勇紀、大島僚太、田中碧、菅大輝、FWは仲川輝人、田川亨介、小川航基。東京五輪世代以外の選手は、大島と仲川の2人だけ。ちなみに、この試合がA代表デビューとなった選手は計9人。スタメンの総キャップ数はわずか6だった(大迫が1キャップ、大島が5キャップ)。

 こうなると、A代表というよりも、実質的には東京五輪を目指すU-22代表と言っていい。採用システムも含め、この香港戦がA代表の強化とは別物であることは、森保監督がチョイスしたスタメンからも見て取れた。

 そのなかで迎えたこの試合は、試合開始から日本が香港を圧倒。前半のうちに4ゴールを決めて勝負を決する展開となった。

 前半で香港が日本ゴールに迫ったのは、立ち上がり4分のセットプレーから11番が放ったシュートシーンのみ。ボール支配率を見ても、日本は開始15分間で81.14%を記録すると、以降も15分刻みで87.33%、81.45%と、ほとんど香港にボールを持たせないままゲームを進めることができた。最終的に日本のボール支配率は70.4%に落ち着いたが、めったにお目にかかれない一方的な数字だった。

 そのなかで際立っていたのが、日本の右サイドからの攻撃だ。

 たとえば、前半で日本が記録したクロスボール16本のうち、右サイドからのクロスは12本もあった。内訳は、右ウイングバックの相馬が7本、2シャドーの右に入った仲川が4本、3バックの右を務めた渡辺が1本である。左からのクロスは菅の4本のみで、これだけを見ても、いかに攻撃が右に偏っていたかがわかる。

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